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こころの専門家リレーメッセージ
自閉スペクトラム症の基礎理解
児童精神科医・精神科医
武士 清昭

本日は発達障害のひとつである、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorders:以下ASDと略します)についてご説明します。
みなさんは“ASD”のある人に対してどんなイメージをお持ちでしょうか。
自分の殻に閉じこもって人と付き合わない?
他人に興味がなさそう?
こだわりが強そう?
不登校やひきこもりに多い事例?
実際は、全く他人に興味を示さない方もいれば、人懐っこい方もいます。
明るく積極的でクラスの人気者だったり、真面目で責任感が強く上司からの信頼も厚い社会人だったり。一方で、人に興味がなく1人になりたいのに、拒否することが苦手で誘いが断れず、気疲れしたり。逆に、人に興味があるのに自分から関わることができずに悶々とした日々を送っている方もいます。
表面的な姿を見るだけでは、本人が実際に悩んでいることや、本人の安心できる環境や状況はどんなものなのか。それらに対して全く理解できないことが多々あります。
医療現場では、併存するうつ病や不安症、適応障害などの病気や病的状態に対する治療がメインとなりますが、その背景にある【環境要因】や【発達特性に関わる要因】もあわせて診立てるバランス感覚も重要です。
私自身も、医療機関での診療だけでなく、学校などの教育現場に足を運んだり、保健所や児童相談所などの公的機関にお邪魔したり、Welcome to talk の専門家としてオンライン健康相談に応じたり、児童思春期の困りごとに向き合う場面を意識的に持つことで、バランス感覚を養うようにしています。
私の恩師である児童精神科医の先生の教えから、ASDのある方を診る際には「3つ組の障害」を診断基準のベースに置いています。
その3つとは
① 社会性
② 社会的コミュニケーション
③ 社会的イマジネーション
です。
この3つ組の障害に、固定化された反復的な行動パターンがともなうことがあります。
ASDのお子さんが我慢しづらい、不安に陥りやすい状況として
・見通しが立たない
・感覚刺激が過敏もしくは過小
・スケジュールや環境の変化
・気持ちや注意の切り替え
・やることがない
・簡単すぎる課題、難しすぎる課題
などがあります。
ASDのある子どもたちは、周囲の人と関係性をつくることが難しい、あるいはそもそも関係性をつくることに興味がない、必要性を感じていないこともあります。ですから、「みんな仲良く」「みんなこうするでしょ」といった“集団生活における常識”的な考えを押し付けないことも重要です。そもそも周囲と仲良くなることを支援として求めていないケースもあることを理解する必要があります。
また、音などの感覚刺激への敏感さや、上記のような対人面でのストレスを感じることが多いため、環境への不適応が生じやすい、といった特徴があります。
『パリピ孔明』/原作:四葉夕卜 作画:小川亮
外来で担当しているお子さんから勧められて、何となく移動中の電車内で見始めたらどっぷりハマってしまったアニメです。ハマりすぎて、原作の漫画も大人買いさせていただきました。三国志と音楽が好きな時点でハマらない理由はなかったのでしょう。「待て。あわてるな。これも孔明の罠だ」
<この記事を書いた人>

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