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vol.21-2

発達障害の誤解

こころの病には、うつ病や双極性障害などの気分障害をはじめ、統合失調症、不安症、摂食障害、適応障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、身体表現性障害、心身症、認知症などさまざまな疾患があります。


うつ病、統合失調症、不安症、摂食障害の4疾患は、2022年4月からの学習指導要領の改訂により、高校の保健体育の教科書で取り上げられるようになりました。精神疾患の記述は40年ぶりの復活です。日本の高校に通う誰もが精神疾患について正しい知識が増えるのは喜ばしいこと。世の中の理解が広がることを期待しています。


本日触れる「発達障害」はこれらの精神疾患には含まれず、異なる診断概念になります。


発達障害には
●知的発達症
●自閉スペクラム症(ASD: Autism Spectrum Disorders)
●注意欠如多動症(ADHD: Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)
●限局性学習症(LD: Learning Disorders)
などがあります。


かつて発達障害の傾向があることを発達障害の“グレーゾーン”と呼ぶことがありましたが、そもそも発達障害のある子どもと、ないとされる子どもには連続性があります。また発達障害の程度がグレーゾーンであっても、本人が悩んでいる場合は、その悩みはグレーではありません。


前回お話ししたように、1方向からの安易な決めつけは当事者の子どもたちの傷つき体験につながります。このため子どもたちが抱える困難に対して安易なラベリングはできません。しかし、本人が抱えている悩みに対して、専門家はその原因や対応について評価・介入する必要があります。

 

以上から専門家として子どもに関わる際には発達障害の特性を知り、本人の訴えに耳を傾けることが大きな一歩となります。


発達障害のひとつ、ADHDには、年齢や発達に不釣り合いな不注意や多動性、衝動性、日常生活や学習に支障をきたす状態に特徴があり、不注意型/衝動・多動型/混合型の3つに分類されます。日本国内では子ども全体の3〜7%存在すると言われ、半数は学童期の間に自然軽快します。


しかし、児童期ADHD3〜7%に対し、成人期ADHDは2.5%のデータがあり、ADHDのお子さんは成人期までADHD症状が持続すると言われています。成人期に入ると多動性は落ち着くことが少なくありませんが、注意障害は残ることが多く、成人期以降に双極性障害をはじめとする精神疾患を併存することが多いとされています。


ADHDの子どもたちは、話を聞く気がないように見えたり、やる気のなさやサボりととられたりすることも少なくありません。

 

その特性に応じた適切な関わり方をすることが重要となってきます。

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秋葉原発の9人組アイドルグループ。中年の思春期を彩る唯一無二の存在です。いわゆる「電波ソング」を基調とする多種多様でハイクオリティな楽曲と、時に奇天烈としか言いようがないほど独特なのにクセになる「カワイイ」ビジュアル。メンバーチェンジを繰り返しながらも引き継がれる「ヲタクアイドル」という、もはや文化。今は娘と一緒に推しています。みなさんも是非!(妻からは「厨二病がまた発動している」と言われています…)

<この記事を書いた人>

Takeshi Kiyoaki
児童精神科医・精神科医
武士 清昭
Takeshi Kiyoaki
略 歴
東京都出身。東邦大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経医学講座に入局。2年間の研修医生活を経て大学院入学。大学院にて研究のかたわら、精神病の予防や回復のデイケア、思春期臨床に携わる。その経験から都立高校の専門医派遣事業に関わり、学校保健の実績を積む。以来、一般精神科臨床と同時に、児童精神科医として10年を超える思春期臨床のキャリアを持つ。
専門分野
精神科リハビリテーション
社会精神医学
児童精神思春期青年期精神医学
趣 味
アニメやゲームなどサブカル/バンド活動(ベース担当)
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