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vol. 5-1

広くて深い、心理学の世界

通っていた小学校の裏は日本海。海で泳いだり海岸沿いでマラソンをしたり、子ども時代の思い出は常に海とともにあり、大人になった今も食事はやはり肉よりも魚派です(笑)。


進学を機に上京。一般企業に就職した15年間のキャリアのなかで転機が訪れたのは、結婚・出産を経て育児をしていた頃。それまで同僚や先輩の女性としての生き方には刺激を受けていましたが、その先のキャリアに迷いが出始めていたときに出会ったのが心理学の本でした。学問としての心理学は、想像以上に理論がしっかりとしていて興味深く、専門的に学びたいと大学に入り直すことを決意。子どもが寝ている時間に受験勉強を行い、編入学を果たしました。その頃は臨床心理士になるとは決めていませんでしたが、「心理を学びたい」という信念だけは強かった。


こうして久々に大学生に戻り、若い世代の仲間に支えられながら、第2のキャリアが始まったのでした。


入学した大学の授業は、座学よりも現地に出向くフィールドワークや実験がほとんど。ビデオカメラを片手に大学附属の幼稚園や小学校に行き、授業観察や子どもの遊び場面の観察を行っていました。教授からはどこを見るべきかの指示はありません。授業中に先生が何を発し、児童はどう答え、周りはどんな反応を示すのか。時には対象の児童を決め、どんな関わりがあると発言できるのかを個別に観察。日常のやりとりを記録し、振り返り、子どもの実態をとらえていきました。


観察授業に加え、子ども向けの紙芝居やカードを作り、子どもたちに実際に遊んでもらったり、グループワークで心理劇を行ったりと、体験を重視した授業が多く、改めて学ぶ楽しさを知りました。その頃から学校現場で幅広い世代の人たちと接したことも、現在の心理士の仕事に活きています。


大変だったけれど、楽しかった学生時代。心理の世界に足を踏み入れたのは30代と、比較的遅くなりましたが、人生はやり直しがあることを、身を持って体験しました。


現在は大学院准教授として、臨床心理士や公認心理師を育成しています。学内の臨床心理センターにて、学生が研修相談員として子どものプレイセラピーを、私は保護者面接を担当しながら、学生に助言・指導を行っています。


最近では、心理臨床の研鑽を積むために、イギリスで生まれた乳幼児観察セミナーの受講を始めました。“無意識”を感じとるためのセラピストの訓練で、2年間の家庭訪問プログラムです。赤ちゃんがどんな体験をしているのか、家族がどのように関わっているかについて観察します。こころの学びは、無意識という言葉で表せない領域にまで広がっています。


広くて深い心理学の世界。

こころに対する関心は未だ尽きることはありません。

オススメの一冊

『100万回生きたねこ』

絵本・1977年10月発売/著者:佐野洋子/出版社:講談社
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000134240

小さい頃に読んだ方も多いのではないでしょうか。絵本ではありますが、生きること、愛する人と一緒にいること、そして別れについて考えさせられます。人とのつながりは、誰かを失い、その痛みを知ることで浮かび上がってくるように思います。

<この記事を書いた人>

Yatsuda Masako
臨床心理士・公認心理師
谷田 征子
Yatsuda Masako
略 歴
新潟県出身。日本海を見ながら育ち、進学を機に上京。一般企業を経て、心理学を学ぶため大学編入学。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科、博士(人文科学)。大学院修了後、東京都ひきこもりサポートネット主任相談員に着任。ひきこもり者やそのご家族の支援の後、日本いのちの電話連盟スーパーバイザーとしてメール相談に従事。その後、帝京平成大学大学院臨床心理学研究科にて、未来の臨床心理士・公認心理師を指導、現在に至る。帝京大学医学部附属病院小児科等で、乳幼児期から青年期までのカウンセリング、相談対応。心理臨床の訓練としてイギリス発の乳幼児観察セミナー受講中。
専門分野
発達臨床心理学

▼紀要論文
「ひきこもりはどのように捉えられているのか: 海外で発表された文献レビュー」
https://teapot.lib.ocha.ac.jp/records/34111#.YF_1cq8zY2w

趣 味
料理(スープづくり)/漫画/猫とのたわむれ
最近お鍋を買い、スープづくりにハマっています。温かなスープで気分もほっこり。大好きな漫画も猫も癒され効果抜群です。
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