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vol.25-2

試行錯誤の繰り返しを支える

大学院修了後、総合病院に勤務。臨床心理士として入院・外来患者の心理検査やカウンセリングを担当していました。病院には15年ほど勤務し、後半5年の間に小児科に発達外来が開設されました。発達外来には「学校に行きづらい」「勉強がしんどい」「発達障害かもしれない」といった困りを抱えた子どもさんやご家族が来院されます。学校での支援体制を整えるために専門家の意見を聞きたいと教員の先生から紹介されて来院される方もおられました。小児科の発達外来では、心理アセスメントの結果を保護者や学校の先生と共有しながら、子どもの支援体制を整えていました。


また病院内の緩和ケアチームや認知症ケアチーム、心不全チームのメンバーとしても働いていました。循環器内科の医師から声をかけてもらって心不全チームに参加できたのは嬉しかったです。例えば、慢性心不全の患者さんは、再発防止のために、塩分控えめの食事に切り替えたり、筋肉をつけるために運動やリハビリを行ったりと、それまでの生活習慣を変える必要があります。しかし、生活習慣を変えるのは大変なことです。多職種と連携しながら患者さんが前向きに療養生活を送れるようにサポートしていました。


その後、企業人事課にて勤務。社員のメンタルヘルスケア担当として、カウンセリングやストレスチェックの実施、職場環境改善、社員研修に取り組んでいました。休職の仕方や復職のタイミングについては、ご本人の体調とともに労働条件や就労規則も考慮する必要があるので、上司や社労士の方と相談しながら対応していました。


現在は、小中学校のスクールカウンセラーとして勤務しています。病院であっても学校であっても共通しているのは、患者さんや児童生徒がどうやったら生きやすいかを一緒に考えていく、寄り添っていく点です。


不安や悩みを抱えながら動き出すタイミングは人それぞれ。試行錯誤しながら進んでいる方に寄り添い、支えていくことが心理士の役割であり心理士という仕事のやりがいだと感じています。

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オススメの一冊

『チーズはどこへ消えた?』

ビジネス書/発行:1998年9月/著者: スペンサー・ジョンソン(医学博士・心理学者)/訳:門田 美鈴/出版: 扶桑社
https://www.fusosha.co.jp/special/cheese/

総合病院勤務時代に初めて読んだときは、行動を起こす勇気をくれた本として気に入っていましたが、久しぶりに読んでみると新たな発見がありました。登場する2匹のネズミと二人の小人のキャラクターが人間の強みと弱みを表現してくれています。誰の中にでもある部分であり、良い悪いの区別はありません。2匹のネズミはチーズがなくなると、すぐに出かけて新しいチーズを見つけます。一方、二人の小人はチーズがなくなったことに混乱し動けなくなりますが、一人の小人は不安や恐怖を感じながらもチーズを探しに出かけます。具体的に動くことで徐々に恐怖や不安がなくなり、その変化を楽しむ小人の様子が丁寧に描かれています。ビジネス書として著名な本ですが、思春期世代も自分を重ねながら色んなことを感じられる本としてオススメの一冊です。

<この記事を書いた人>

Hamaguchi Ai
臨床心理士 公認心理師
濱口 愛
Hamaguchi Ai
略 歴
山口県出身。京都教育大学大学院教育学研究科修了。大学院修了後、総合病院の臨床心理士として入院・外来患者の心理検査やカウンセリングを行う。小児科の発達外来では子どもの支援体制の整備を担当。緩和ケア・認知症ケア・心不全チームなど、チーム医療にも携わる。企業人事課では、職員のストレスチェックや職場環境改善、研修など職員のメンタルヘルスケアに従事。現在は、小中学校のスクールカウンセラーとして児童生徒のカウンセリングや、教職員や保護者の相談に応じている。
専門分野
病院臨床
発達相談
認知行動療法
趣 味
映画鑑賞(ヒューマンドラマ系)/ヨガ/カフェでゆっくり

良い映画には名言がつきもの。アニメでもミステリーでもキャラクターが放つ名セリフに感動します。去年のイチオシは『THE FIRST SLAM DUNK』でした。家の近くのカフェのソファ席でゆったりするのも好き。無心になってリラックスできます。
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