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vol.25-3

ありのままを受け止める

現在は小中学校でスクールカウンセラーをしています。

「友だちとのことで嫌なことがあった」「ちょっと話を聞いてほしい」と、児童・生徒から相談に来てくれたときは、どのような状況でどんな気持ちになったのかじっくり耳を傾けるようにしています。話してスッキリしたと言ってくれる生徒もいますし、リラクゼーションを練習してよく眠れるようになったと喜んでくれる生徒もいます。

 

「学校に行きづらい」「教室に入りづらい」と困っている子どもたちには、教室に近づくためのチャレンジを一緒にしたりしています。学校の敷地内に入る、保健室に入る、教室以外の部屋に入るなど、徐々に教室に近づく練習を繰り返します。学校への行き渋りが始まる原因は、友達関係や勉強のことなどハッキリしていることもあれば、「なんとなく…」と本人にもわからないことが多いもの。教室に近づくチャレンジを行うなかで、新しい気づきを得たり、前に進むきっかけをつかむこともあります。


保護者の方からのご相談の中心は、子どもさんとのコミュニケーションについて。子どもとの葛藤が強くなりやすい場面について一緒に振り返り、子どもと穏やかにコミュニケーションするための方法を考えています。日常生活のなかでイライラする場面も色々です。親の思ったように子どもが動かないことにイライラしてしまう背景には親の「~べき思考」があります。「~べき思考」を整理し、切り替えることができるとイライラが小さくなり、余裕をもって子どもと向き合うことができるようになります。意外に、小さなことから変化が見られていきますので、子どもにイライラした時には一度立ち止まってご自身の中にある「~べき思考」を見直してみてもらうようにしています。


保護者の方は、子どもが困っていたり悩んでいたりすると、なんとか解決してあげたいという気持ちから、とても多くのアドバイスをされています。でも、その前にうまくいかない、勇気が出ないという子どもたちの気持ちを受け止めることが大切です。その後の助言が受け入れられやすくなるでしょう。


教員の先生からは児童・生徒や保護者への対応についてのご相談をお受けしています。授業や学級運営をしながら生徒の個別対応について考えるというのはとても大変なことです。一緒に状況を整理し、具体的にできることを見つけ出せるよう心がけています。


カウンセリングの後にホッとされた表情が見られたり、「見通しが持てて気持ちが楽になりました」と言ってもらえると嬉しいです。自分で気づき、選び、歩み進む姿に私もエネルギーをもらっています。

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コミュニケーションのワンポイント

「相手の言葉を繰り返す」

人と会話をするとき、「次に自分が言うこと」に気をとられて焦ってしまい、相手が話す内容に集中できないという人はいませんか?
人にはそれぞれ話す・聞くペースがあります。相手のペースに合わせるのではなく、自分のペースで会話ができると良いでしょう。焦らないためのひとつの方法として、相手が話した言葉を繰り返してみてください。相手は「聞いてくれたんだな。わかってくれたんだな」と感じ、自分も相手の気持ちが理解しやすくなり、会話がスムーズに進んでいくと思います。「うまく話そう」と緊張してしまう人は、まず、じっくり相手の話を聞いてみてください。
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頑張ろうとする時期に敢えての休息を(5/9更新)

<この記事を書いた人>

Hamaguchi Ai
臨床心理士 公認心理師
濱口 愛
Hamaguchi Ai
略 歴
山口県出身。京都教育大学大学院教育学研究科修了。大学院修了後、総合病院の臨床心理士として入院・外来患者の心理検査やカウンセリングを行う。小児科の発達外来では子どもの支援体制の整備を担当。緩和ケア・認知症ケア・心不全チームなど、チーム医療にも携わる。企業人事課では、職員のストレスチェックや職場環境改善、研修など職員のメンタルヘルスケアに従事。現在は、小中学校のスクールカウンセラーとして児童生徒のカウンセリングや、教職員や保護者の相談に応じている。
専門分野
病院臨床
発達相談
認知行動療法
趣 味
映画鑑賞(ヒューマンドラマ系)/ヨガ/カフェでゆっくり

良い映画には名言がつきもの。アニメでもミステリーでもキャラクターが放つ名セリフに感動します。去年のイチオシは『THE FIRST SLAM DUNK』でした。家の近くのカフェのソファ席でゆったりするのも好き。無心になってリラックスできます。
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