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vol.18-1

悩める児童生徒へのコミュニケーション(保護者編)

「なぜ?」ではなく、「これから」を考える

 

みなさん、こんにちは。GWはいかがお過ごしでしょうか。


GWのような長期休みは、疲れたこころとからだを休ませ、リフレッシュするタイミングではありますが、学校に行きたくない、行けないといった「不登校」になる傾向があると言われています。


今月のブログテーマは、「悩める児童生徒へのコミュニケーション」。悩みを抱える子どもたちを周囲で見守る「保護者」の方、「お友だち」、「教職員」の先生方、そして子どもたち「本人」が、どのような関わり方をしていけば良いかについてヒントとなる情報をお届けします。


<ケース1:保護者編>
子どもが突然「学校に行きたくない」と言い始め、学校への行きしぶりが始まりました。家庭でどのように声をかければいいのでしょうか。

 

今までと違う新しい環境に適応しようとすると、こころやからだが自覚している以上に緊張をし、疲れやストレスを感じることがあります。


つまり、GWのような長期休みは

新生活の疲れが一度に出てきたり、
頑張りすぎていたこころがエネルギー切れを起こしたり、
悩みやプレッシャー、負担などをより自覚して苦しくなったり、
生活リズムを戻しづらくなったり…

する時期でもあります。


文部科学省の調査では、小中学生の不登校の要因として、「無気力・不安」、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」といった本人にかかわる状況、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」や「学業の不振」といった学校にかかわる状況、「親子の関わり方」、「家庭の生活環境の急激な変化」といった家庭にかかわる状況などが挙げられています。


不登校のお子さまをもつご家族の方には、これまでの育て方を悔やみ、ご自分のせいだと思い悩んだりする方も少なくありません。ただ、スクールカウンセラーとして多くのご家庭と対峙するなかで感じるのは、子育てに正解はないということ。どのご家庭も苦労や苦悩とともに子育てに奮闘されています。


不登校は、「いじめ」といった直接的な傷つき体験をはじめ、生徒本人のもともとの性格やストレス耐性と、学校や家庭などのさまざまな出来事や要因が重なることで、結果として「不登校」の状態になってしまうのだと考えます。


ポジティブな見方をすれば、
学校に行きたくない、行けないと話すお子さまが「自分でこころやからだのSOSを誰かに発信できた」とも考えることができます。


こころの不調を訴えるお子さまへのアプローチには、こんなこともヒントになるでしょう。


●お子さま本来の姿を取り戻すまでしっかり休養をとる
●原因探しはほどほどに、これからできることを考える
●本人の気持ちを受け止め、つらさを認める
●サポートについて、家庭だけで抱え過ぎず、専門家に頼れるところは頼る
●ご家族の心身の健康も大切。リフレッシュや休養をとる
●お子さまに「あなたのことが大切だ」「心配している」といったメッセージを伝える


お子さまは外から見ると甘えている、怠けているように見える状況かもしれませんが、実は自分なりにいろいろなことを考えています。その気持ちを受け止め、一緒にこれからできることを考える姿勢を示すことがお子さまの支えになります。


お子さまだけではなく、保護者の方も、先の見えない長いトンネルの中にいるような感覚で不安だと思います。ぜひ、保護者の方自身のこころも置き去りにせず、リフレッシュしてほしいと願います。


Welcome to talkでは、お子さま本人、そして保護者の方が、そのお子さまらしく過ごせるよう少しでもよい方向へ進むためのお手伝いをしています。


▼引用・参考▼

文部科学省「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm

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ワタシの推し(マンガ)

『カードキャプターさくら』/ CLAMP・作

平成生まれの女子が憧れる大人気少女マンガ。月刊少女マンガ誌「なかよし」の連載マンガとして愛され、NHKにてアニメ化。単行本は12巻で完結していますが、連載20周年を祝して2016年から続編の「クリアカード編」が連載されています。主人公さくらちゃんを支える友人関係や家族が温かく愛しい気持ちになる作品です。キャラクターの衣装も可愛らしく、今でもイラストを見るだけでもワクワク楽しい。そして主人公のさくらちゃんが、どんな苦境に立たされても前に進んでいく姿と、名ゼリフ「絶対大丈夫だよ」に何度も支えられています。

<この記事を書いた人>

Aida Saori
臨床心理士・公認心理師
相田 早織
Aida Saori
略 歴
アメリカ・カリフォルニア州生まれ。4歳で帰国し中学2年まで国内、中学3年から高校卒業までの5年間をアメリカで過ごす。学習院大学文学部心理学科卒業後、日本女子大学大学院人間社会研究科心理学専攻に進学。大学院修了後、児童相談所や私立大学の保健センター、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所に勤務。大学の保健センターでは、大学生を対象とした思春期・青年期の臨床に携わる。現在は教育委員会に所属。スクールカウンセラーとして小学校から中学校までの学校臨床に従事している。
専門分野
思春期・青年期
趣 味
音楽(特にロック系)/映画鑑賞(ゴシックホラー系)/読書(海外SF)
音楽を聞くのも演奏するのも好きで、ピアノを習っていたため、大学の軽音部ではキーボードを担当していました★
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