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vol. 6-2

ゲーム依存の対処法

最近はさまざまなゲームがあり、子どもがゲームにはまる理由も多くありますが、スマートフォンでのゲームにはまっている理由を聞きますと、ゲームそのものにハマるというより、オンラインゲーム中の人間関係に溺れているように思えます。

 

「〇〇さんがログインするから私も入る」「僕たちの仲間のために…」

 

人間関係が絡むと自然と依存度は高くなります。ゲームがそこまで楽しくなくても、友だちとゲーム中に会話ができるからやめられなくなる。そして子どもたちは、そのゲーム中のコミュニケーションをリアルワールドでの対人関係と思いがちです。

 

現実世界で悪口を言われると喧嘩になりますが、ゲームでは電源を切ったらそこで終了。ネットの世界ではログインしたメンバーだけで遊び、嫌だったら切ればいい。リアルなクラスの友だちとゲームをした後にネット上の友だちとゲームをする。どちらもゲームでつながっているため、リアルな人間関係と履き違えてしまう傾向があります。

 

オンラインゲームの世界では、例えば、「ドッジボールは2回当てていいことにしよう」と自分たちでルールを決めるようなコミュニケーションやネゴシエーションが生まれません。

 

さらに、睡眠不足等で生活リズムを崩し、ストレートネックなどの身体不調が顕在化するケースもあります。

 

ギャンブル依存の悪はお金がなくなる、アルコール依存は身体を壊すのに対し、ゲーム依存の一番の問題は「時間を取られる」ことだと思います。子どもたちが学校生活を通じて経験するべき部活や友人関係などさまざまな経験を逃してしまう。経験しなくてもいいこともありますが、時間を浪費することはネガティブな結果をもたらすことが多いのです。

 

実際、ゲーム依存を理由に外来する子どもたちは少ないですが、不登校や引きこもりの背景にゲーム依存(ゲーム障害)やネット依存が増えているように思います。

 

加えて、長引く新型コロナの影響のため外出できず、人と人のリアルな触れ合いが減っています。大人も含めてデジタルとの接触が増えるにつれ、ゲーム依存が増えていると言われています。コロナ禍で家庭内のアルコール依存が増えているのと同じ理由です。

 

それでは、子どもたちのゲーム依存に周りの大人はどう対処すればいいのか?

 

頭ごなしに怒るのではなく、まずは何気ない会話ができる関係性をつくることが大切です。普段の挨拶や会話ができるような信頼関係があってこそ、その問題について話ができます。口を開けば「ゲームの電源を切りなさい」では子どもたちは聞く耳を持ちません。同じサッカー部の信頼していた先輩から「同じ高校で一緒にサッカーやりたかったら勉強を頑張れ」と言われたら、一所懸命に受験勉強に取り組むでしょう。

 

「おはよう」
「晴れて気持ちいいね」
「今日の夕食おいしいね」

 

ゲームとは関係のない普段通りの会話が対処法の第一歩です。

コミュニケーションのワンポイント

「ありがとう」を多用しよう

無意識のうちに発している「口ぐせ」。口ぐせがその人をつくってしまうように感じています。発する言葉はネガティブよりもポジティブな方がいい。私自身も「ありがとう」というポジティブワードを使うよう心がけています。

<この記事を書いた人>

Ikeda Shunichiro
精神科医
池田 俊一郎
Ikeda Shunichiro
略 歴
大阪府出身。自治医科大学医学部卒業後、大阪に戻り、 大阪府立急性期総合医療センターでの初期研修を経て、大阪府立精神医療センターに入局。同センターでは主に精神科救急や依存症の支援に従事。医師としてのキャリアと並行し、大阪大学大学院医学系研究科を卒業。2年間の保健所勤務時は、児童虐待の相談対応にあたる。その後、大阪府立精神医療センターの勤務を経て、2016年、関西医科大学精神神経科学教室に入局。2021年4月より病棟医長となり、現在に至る。精神科臨床のほか、大阪府や教育委員会、学生向けのゲーム依存や薬物依存など依存症啓発セミナー講演も多数行っている。
専門分野
依存症(ネット・薬物・ギャンブル)
精神科救急
統合失調症
コンサルテーション・リエゾン精神医学
定量脳波学
趣 味
ジョギング・マラソン

一人で行える趣味のため、集中かつリラックスできます。いろんな考えごとをしたりしなかったり。週1ペースで5kmを習慣にしています。
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