BLOG

vol.23-3

見方を変えれば、関係性が変わる

勤務先のひとつである家庭児童相談所では、基本的に保護者の方のご相談をお受けしています。

 

お子さま本人とも面接を行い、心理検査を受けてもらうことも。どのような問題を抱えているのかを考えていきます。主なご相談は、登校しぶりや不登校。学校の先生も心配されている場合もあるため、学校に出向いて先生とお話する機会もあります。

 

児童思春期のお子さんの問題には、保護者の方の考えや関わりが大きく関係すると考えています。子どもさん本人との面接では発達の特性や心理状態のアセスメントがほとんどですが、保護者の方にはカウンセリングを中心とした面接を行っています。不登校のお子さんはご家庭で保護者の方と関わることが多く、なかには親子の関係性が悪化し問題がさらに大きくなっているケースもあることから、保護者の方へのアプローチを重視しています。個別アセスメントからお子さんの今の状態を説明することで、子どもさんへの見方が変わることがあります。

 

ご家庭のなかで不登校のことばかりが話題になっている間は何も進展はありません。

 

ほかのことに目を向けてみると、発達の問題で学校生活がうまくいかなかったり、友達関係や家族関係が関わっていたりすることがわかります。家で窮屈な思いをしなくなったお子さんが話を始め、自分に合った進学先を一緒に探すなど関係性が変化するケースは珍しくありません。保護者の方がお子さんへの気づきや発達段階に応じた理解を深め、お子さんも前向きさを取り戻していけることをねらいとしています。

 

当事者本人は自分を知ること、保護者の方はお子さまの見方を変えることが大きな一歩につながります。自分がどうしてそのように考えてしまうのか、こだわりは何なのか、向き不向きは何かを知り、そこから進路を選択していくことにつながればと感じています。

 

また最近では発達障害の情報がネット上であふれているため、子どもが当てはまるのではないかと心配される保護者の方が多いように思います。一方で、保育所や幼稚園、小学校の先生から、集団生活では困りごとはあるが、家庭では問題がなく、保護者の理解が得られないケースがあるという話をお聞きすることも。こうしたケースで保護者の方とお話しするときは、検査の結果や特性の見立てから説明をすると理解を得られることがあります。年齢に応じた発達を知ることも大きな一歩につながります。

お問い合わせ
好きな言葉・格言

「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」

不幸と幸福はよりあわせた縄のように交互に訪れるもの。苦しいことばかりは続かないし、楽しいことばかりも続かない。アナウンサーの安住紳一郎さんがラジオで触れていた格言です。人生の辛い局面には希望を見出す励みとなり、幸運な時期には自分を戒めてくれる言葉です。出典は中国の歴史書『史記』。何となくかっこいい響きもお気に入りです。

<この記事を書いた人>

Yoshida Michiko
公認心理師
吉田 倫子
Yoshida Michiko
略 歴
広島県出身。関西学院大学大学院文学研究科 教育学専攻(教育心理学)博士課程前期課程修了。大学院修了後、精神科病院の病棟・デイケアに勤務。現在は、大学病院や精神科病院、クリニック等にて、心理検査や医療・発達・不登校の相談、うつ病などを原因とした休職者の復職支援(リワークプログラム)に携わる。家庭児童相談所では、子どもとその保護者を対象に、心理検査をはじめとする心理アセスメント、カウンセリング、心理面接のほか、学校と連携した支援も行っている。
専門分野
病院臨床
発達相談
認知行動療法
趣 味
筋トレ/食べ歩き/怪談を聞く

ダイエット目的で始めた筋トレですが、ジムのトレーナーさんから教わりながら楽しく取り組んでいます。SNSやネットニュースからグルメ情報を集め、気になるお店には足を運びます。小さい頃からオカルト好きで、特に都市伝説系の怪談がお気に入り。
関連記事3