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こころの専門家リレーメッセージ
こころや行動への興味から心理学へ
公認心理師
吉田 倫子

心理学への興味は、小さい頃から頭脳戦や心理戦が楽しめるドラマや映画が好きだったことから。中学生だった当時、サイコスリラー作品が流行っていたこともあり、心理分析官が主人公の映画や刑事ドラマをよく観ていました。謎を解きながら事件を解決していくプロセスや、登場人物の外見からはわからない思考やこだわりを暴いていくところに面白さを感じていました。
その頃、実際の事件も“こころの闇”として報道されることが多く、人のこころや行動に徐々に興味を持っていったように思います。子どもの頃から、人がどう考えるのか、どういう考えからそうした発言になるのか、という人間のこころへの興味関心が人一倍高かったのかもしれません。
その興味を持ち続けたまま、大学では文学部の教育心理を専攻。ただし、教育心理学といってもあまり“教育”の要素はなく、主に人格や性格特性・傾向などのパーソナリティや心理検査について学んでいました。
それでも大学に入ってからはあまり目的なく過ごし、同級生が就活を始めていく時期にもそのペースにうまく乗れずにいた頃、授業でお世話になっていた先生や先輩から勉強会や病院の見学に誘っていただきました。
勉強会では他大の学生と一緒に心理療法の書籍を輪読。病院見学では先生の勤務先である精神科病棟を訪問。大学生だった自分にとって初めての精神科病院であり、普段の生活では接することのない患者さんや、原因が十分に解明されていない精神疾患の病気に触れるなかで、臨床心理をしっかりやっていきたい、ゆくゆくは仕事にしていきたいと考えるようになりました。
より専門的に学ぼうと大学院に進学。大学院生になってからも良いご縁があり、さまざまな臨床の場で実践を積むことができました。最初の勤務先は保育所の巡回。3〜5歳の幼児を対象に発達検査をしたり、発達の課題があった場合には保護者の方に家庭での対応についてアドバイスをしたりする仕事でした。幼児の発達も発達検査も大学院で専門的に学んでいたわけではないため、実践からの学びが大きかったように思います。
こうして子どもの発達から始められたことは、心理士として働くうえでとても良い経験となりました。一般の成人や児童思春期の患者さんと接する現在の大学病院の仕事でも活かされています。
臨床心理といってもさまざまな現場がありますので、あまりこれといった専門分野にこだわらず、運命に任せてフットワーク軽くやってきたことが、心理士としての仕事のすべてにつながっているように思います。
『パイの物語』
ファンタジー冒険小説/発行:2004年1月/著者:ヤン・マテール/訳者:唐沢 則幸/出版: 竹書房文庫2013年公開の映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の原作です。冒頭のインドを舞台にした動物、宗教、文化の色鮮やかな描写から、過酷なサバイバル生活、すべてがひっくり返るようなラストまでハラハラドキドキの展開で面白い。ラストは哲学的で読む人によって解釈が異なると思います。自分が見ているものは幻想か真実か、どの物語を信じているのか。この作品を通して、ものごとの見方が変わるような体験をしました。映画も映像が素晴らしいのでオススメです。
<この記事を書いた人>

発達相談
認知行動療法
ダイエット目的で始めた筋トレですが、ジムのトレーナーさんから教わりながら楽しく取り組んでいます。SNSやネットニュースからグルメ情報を集め、気になるお店には足を運びます。小さい頃からオカルト好きで、特に都市伝説系の怪談がお気に入り。