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vol.23-2

人に相談する“技術”

普段は、大学病院の精神科や個人クリニック、自治体の家庭児童相談所等で働いています。医療関係では心理検査を担当する業務が中心ですが、リワークデイケアでは集団認知行動療法を担当しています。

 

医療での心理検査は、主治医の先生からの依頼を受けて実施します。お困りごとは年代によって異なり、児童思春期の患者さんは主に発達特性や学校不適応、成人期の方は気分の落ち込み、高齢者は認知機能についての検査が多くなります。患者さんそれぞれのこころの状態や力の特徴、得意・不得意について調べ、これからの生活に活かすことを明らかにしていきます。

 

表面的には見えない点やご自身もわかっていない点に気づき、困っていたところから一緒に前に進んでいく。心理士の仕事の醍醐味だと感じています。

 

リワークデイケアでの集団認知行動療法は、気分障害系の病気による休職中で今後の復職をめざし、リハビリをされている方が対象です。6人程度のグループに分かれ、これまでのご自身の考え方のクセや行動パターンを見直し、別の見方や考え方、対処法を探し、その練習を重ねていきます。メンバーさんにとってはエネルギーを使う活動ですが、ほかのメンバーと一緒に話し合い、学び合いながらご自身への気づきが深まり、再発予防の効果を感じられている方が多いです。

 

この集団認知行動療法のプログラムは、週に一度、90分/回を計10回で構成され、2か月超の長いお付き合いとなります。プログラム期間中は、1週間の出来事や気づきをワークシートにまとめてもらうホームワークもあります。自身の体験や気分を書き出していくことで、考えがまとまったり整理されたりすることがあります。

 

また、こうした復職プログラムに参加される方は、周りに相談できず、仕事を抱え込んで体調を崩されたケースが少なくありません。「どう相談していいのかわからない」「職場の誰もが忙しいなかで、誰に相談していいのかわからない」といった声を耳にします。

 

プログラム中は私が何かを気づかせるというよりも、グループ活動のなかで互いの経験や行動の工夫を共有することで得る気づきが最も効果的です。相談することの重要性に気づき、些細なことでも相談しながらその技術を身につけ、職場に復帰された後は早めに相談するようになったという話をよく聞きます。

 

そもそも「相談する技術」は、大人でさえ持ち合わせていないことが多いですから、子どたちにとってはもっとハードルが高いことかもしれません。

 

中高生の思春期は「何に困っているのかわからない」「何を相談していいのかわからない」と言います。子どもや若者からのご相談の場合は、抱えている問題の解決に向けて道筋をつけていくことを心がけています。乳幼児発達から学童期・青年期・成人期・老年期にいたる発達や心理的問題について経験を積んできました。過去から将来の見通しを持った理解と支援について相談者さんと共にうまく進めていけたときに心理士としてのやりがいを感じています。

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コミュニケーションのワンポイント

困ったときは相談しよう

自分で悩んだり葛藤したりすることも大切な経験ですが、一人で抱え込むようなことになったり出口が見えなくなってきたときには、誰かに相談するのが良いでしょう。自分で見えていなかったことや対処法が見つかることがあります。仕事の場面でも周囲に相談することはとても重要です。「相談する技術」を身につけましょう。

<この記事を書いた人>

Yoshida Michiko
公認心理師
吉田 倫子
Yoshida Michiko
略 歴
広島県出身。関西学院大学大学院文学研究科 教育学専攻(教育心理学)博士課程前期課程修了。大学院修了後、精神科病院の病棟・デイケアに勤務。現在は、大学病院や精神科病院、クリニック等にて、心理検査や医療・発達・不登校の相談、うつ病などを原因とした休職者の復職支援(リワークプログラム)に携わる。家庭児童相談所では、子どもとその保護者を対象に、心理検査をはじめとする心理アセスメント、カウンセリング、心理面接のほか、学校と連携した支援も行っている。
専門分野
病院臨床
発達相談
認知行動療法
趣 味
筋トレ/食べ歩き/怪談を聞く

ダイエット目的で始めた筋トレですが、ジムのトレーナーさんから教わりながら楽しく取り組んでいます。SNSやネットニュースからグルメ情報を集め、気になるお店には足を運びます。小さい頃からオカルト好きで、特に都市伝説系の怪談がお気に入り。
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