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vol.16-4

メンタルヘルスの正しい知識

長引くコロナ禍のなかで、子どものメンタルヘルスに関する課題がこれまで以上に顕在化しています。実際、何らかの悩みを抱える子どもの割合は85%との報告もあり、そのなかには精神科医療や精神保健、精神疾患に正しい知識がないことで、早期発見や早期支援につながらず重症化し、苦しんでいる子どもたちがいます。


一方、学校現場を取り巻く環境は複雑化・多様化し、学校に求められる役割が拡大することに加え、教員の「働き方改革」により、生徒・学生との向き合い方に工夫が求められています。そのような背景から2022年度の新学習指導要領では、高等学校の保健体育の授業で精神疾患の理解教育が含まれることが決まっています。具体的には、うつ病、統合失調症、不安症や摂食障害など誰もが罹りうる病気について学びます。


子どもたち本人だけでなく周りの大人も精神科医療、精神疾患に関する正しい知識がないことが1番の課題だと感じています。


子どもたちは言語もしくは非言語で何かしらのSOSを出しています。そのSOSサインを気づいてあげられないのは、これまで単に学ぶ機会がなかったから。数学や英語などの教科について疑問点があれば質問するのと同じように、子どもたちが自分自身や他者の健康課題を理解しながら心身の不調に気づいた際に、気軽に手軽に相談できる環境を整えることがとても大切です。


それぞれのケースで気軽に聞ける場があれば、その知識が蓄積され、最適な解を見つけられる力になります。メンタルの問題となると一気にハードルが上がりますが、寒気を感じたら風邪薬を飲む、目のまわりに“できもの”を見つけたら、ものもらいを疑って眼科に行くのと同様に、こころの病を大きくしないためにも早め早めの予防と対処が必要です。


相談をより身近なものにすることが、子どもたちのメンタルヘルスという社会課題の解決への第一歩。Welcome to talkはこれからも話しやすい、相談しやすい環境づくりに努めてまいります。

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オススメの一冊

『影響力の武器』

心理学書/出版:2014年7月/著者:ロバート・B・チャルディーニ/出版社:誠信書房
http://www.seishinshobo.co.jp/book/b177759.html

なぜ、人は動かされるのか。社会心理学のアプローチから、人にどのように影響され人の望む行動を取るようになるのかについて分析し、解説されています。目標を共有したり人を巻き込んだり、これまでの組織づくりにおいて多くのヒントを得た一冊です。

<この記事を書いた人>

Sekizaki Ryo
精神科医
関﨑 亮
Sekizaki Ryo
略 歴
群馬県出身。東邦大学医学部卒業後、研修医を経て同大学医学部精神神経医学講座に入局。その後、大学院にてジュニアアスリートへのインターネットを活用したメンタルヘルスケアサービスに関する研究を行う。その傍ら、精神科学校医として、生徒、保護者、教職員のメンタルヘルスケアに携わり、学校保健の実績を積む。東邦⼤学医学部精神神経医学講座 客員講師として学校精神保健や遠隔医療の講義担当、学会やシンポジウム等での講演多数。
2018年、株式会社 Welcome to talkを設⽴。
専門分野
学校精神保健
スポーツ精神医学

▼学術論文
学校精神保健における遠隔相談の可能性
https://medical-society-production-jseip.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/paper/pdf/58/5_1_2020_9.pdf
趣 味
サッカー/スノーボード/アニメ/YouTube
子どもの頃はスポーツ一筋。逆に、最近は身体を動かすことがなくなり、鬼滅の刃、呪術廻戦、ゴルゴ13などのアニメや、ゲーム実況、ゴルフ解説を楽しむYouTubeなどインドアライフを満喫しています。
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