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vol.16-2

インターネットを介した認知行動療法とは?

大学院での研究テーマは「Internet-Based Cognitive Behavioral Therapy(iCBT)を活用したジュニアアスリート向けのメンタルヘルスサービス」について研究を行いました。


iCBTとは、インターネットを用いた認知行動療法のこと。「現実の受け取り方」や「ものの見方」に働きかけ、こころのストレスを軽くしていく精神療法です。このような研究を行った背景には、前述した私自身のジュニアアスリートとしての経験があります。一例をあげると、大会に挑む際、「観衆の前でミスをしてしまうのではないか」という認知・不安から、パフォーマンスが発揮しきれないことがありました。事実、このような経験をしているアスリートは珍しくありません。


認知行動療法では、「事実」と「気分」の間に「考え」があると言われています。観衆がいるという事実からミスをしてしまうのではないかという考えが生まれ、不安という気分につながる。それならば、事実の認知の仕方によって感情が変わるのではないかという心理アプローチが認知行動療法です。


欧米諸国においては、自分自身の考え方のクセを理解し、自分を苦しめる考え方に気づき発想を切り替える心理技法としてCBTやiCBTを採用しています。ジュニアアスリートの育成からオリンピック期間中のアスリートのメンタルマネジメントまで、数多く認知行動療法的アプローチが取り入れられています。


一方、日本ではジュニアアスリートを対象にしたCBTやiCBTの研究は多くなく、認知行動療法的アプローチが採用されることはあまりありません。


そして病態水準がマイナスから0となる「メンタルヘルス」と、0から1となる「ウェルビーイング」の違いにも注意する必要があります。


スポーツにおいても、バーンアウトや摂食障害のような病態水準にある人向けの関わり方と、より良いパフォーマンスを発揮することをめざす人向けの関わり方は異なります。メンタルサポートはその両方を包含していますが、展開の仕方は全く異なり、認知行動療法は、メンタルヘルスとウェルビーングの両方に活用できると思います。


高等学校での実践研究を通して、ジュニアアスリートにおける抑うつや不安に対するiCBTの効果が示唆されたことに加え、生徒自身の考え方や他者の健康課題を理解し自ら進んで自己管理を行うようになったことは、とても価値があったのではないかと考えています。

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コミュニケーションのワンポイント

言葉を慎重に選ぶ

以前は、せっかちな性格的で結論を急ぐことがあり、言葉の捉え方が人それぞれであることを知らず、相手に誤解を与える失敗を経験しました。その反省から、まずは相手の考えを理解し、その理解が正しいか慎重に自分の言葉に置き換えて確認するようにしています。

<この記事を書いた人>

Sekizaki Ryo
精神科医
関﨑 亮
Sekizaki Ryo
略 歴
群馬県出身。東邦大学医学部卒業後、研修医を経て同大学医学部精神神経医学講座に入局。その後、大学院にてジュニアアスリートへのインターネットを活用したメンタルヘルスケアサービスに関する研究を行う。その傍ら、精神科学校医として、生徒、保護者、教職員のメンタルヘルスケアに携わり、学校保健の実績を積む。東邦⼤学医学部精神神経医学講座 客員講師として学校精神保健や遠隔医療の講義担当、学会やシンポジウム等での講演多数。
2018年、株式会社 Welcome to talkを設⽴。
専門分野
学校精神保健
スポーツ精神医学

▼学術論文
学校精神保健における遠隔相談の可能性
https://medical-society-production-jseip.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/paper/pdf/58/5_1_2020_9.pdf
趣 味
サッカー/スノーボード/アニメ/YouTube
子どもの頃はスポーツ一筋。逆に、最近は身体を動かすことがなくなり、鬼滅の刃、呪術廻戦、ゴルゴ13などのアニメや、ゲーム実況、ゴルフ解説を楽しむYouTubeなどインドアライフを満喫しています。
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