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vol. 4-3

外務省医務官として。
海外におけるメンタルヘルス

外務省医務官として、海外の大使館など在外公館に勤務した後、現在は東京の外務省にて、主に外務省職員のメンタルヘルス面での健康管理や、外務省内の診療所で心療内科を担当しています。


「外務省医務官」とは、在外公館職員とそのご家族の健康管理や、現地に住む日本人の健康相談、現地の医療事業の調査・提供などを行う仕事。約10年間、アメリカ・ニューヨークを含む4カ国で、海外の医療に携わってきました。


海外の邦人社会のなかで大きな問題となっているのが高齢化です。


海外に移民した日本人が認知症になると、それまで流暢だった英語が話せなくなり、社会から孤立してしまうことが問題視されています。


最初の任地となる在ニューヨーク総領事館では、在留邦人に向けた海外初の認知症啓発活動「認知症キャラバンメイト」のネットワークづくりを支援していました。認知症サポーターとして認知症と関わる人を増やす活動です。その後、この活動はイギリスやカナダなど各国に拡がっています。


このときは、日本での子どもたちへの臨床経験が役立ちました。子ども本人だけでなく、家族のこころケアも行わないと子どもさんの症状は良くならない。認知症の患者さんも然りで、周りの家族を支えることがとても大切です。


次の任地のアルジェリア(在アルジェリア大使館)では、アフリカ各国を含むテロ対応にあたり、3カ国目のタイ(在タイ大使館)でも、中東からオセアニアまで広域を担当。


タイ国内では日本人学校の校医として健康相談や健康管理を行っていました。子どもたちのなかには、言語習得による遅れなのか、知的障害なのか区別が難しかったり、授業についていけず適応できなかったり、海外ならではの悩みがありました。


4カ国目のパプアニューギニア(在パプアニューギニア大使館)は、治安の悪い地域で医療資源のないなか、持てる力で何ができるかを考えながら医療に取り組む日々を送りました。

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コミュニケーションのワンポイント

とことん聞こう!

コミュニケーションの技術というと、人との接し方や話し方を考える方が多いでしょう。でも、最良の手段は黙って聞くこと。聞いてもらっている相手は、安心して話すことができます。これは母国語の通じない外国人とのコミュニケーションでも同じです。聞く姿勢があれば誰とでも仲良くなれます。もし黙り合いになっても、沈黙は頭の整理にもなります。
コミュニケーションが苦手な方は、まず「聞くこと」に徹してください。

<この記事を書いた人>

Yoshida Tsunetaka
精神科医・臨床心理士・公認心理師
吉田 常孝
Yoshida Tsunetaka
略 歴
大阪府出身。関西医科大学医学部卒業後、同大学精神神経科学教室に入局。翌年、同大学院入学。精神病理学のほか、放射線科学教室に学内留学し、当時先駆けとなるニューロイメージングの研究に携わる。大学病院にて「物忘れ外来」「家族会」を立ち上げ、認知症の臨床や研究、家族支援に従事。精神病理学の臨床研究として、摂食障害を中心に思春期の症例を取り扱う。関西外国語大学精神科学校医としても勤務。大学病院高度救命救急センター勤務後、2008年に外務省入省。在ニューヨーク総領事館を含む4カ国の海外勤務を経て帰国。2019年より外務省診療所健康管理医(産業医)。
専門分野
リエゾン精神医学
老年精神医学会
産業精神医学(職場のメンタルヘルス)
臨床心理学
温泉療法医
趣 味
ラグビー/旅行
学生時代のポジションは主にプロップやフッカー、ケガ人が出ると時おりフランカー。旅行の趣味が高じて「温泉療法医」を取得。
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