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vol.15-3

楽しく生きなきゃ意味がない?

若い頃は、私自身がそう思い込んでいました。自分の時間を充実させること、好きなものを食べて好きな場所に旅していろんな経験をすること。「苦しいのは自分の頑張りが足りないから」「考え方を変えなければいけない」など、楽しくあるために、知らず知らずのうちに逆に自分を苦しめていたように思います。


「生きることは苦しみ」


頑張っても報われないような思いでいたとき、この言葉を知りました。もともとは仏教の教えのようです。「そうだよね。生きるってそもそも大変なことなんだよね」と、こころにすっと入ったのを覚えています。物事がうまくいかなくても「こんなもんかな」と思えたり、普通なことで十分幸せなのだと感じたり。


私のこころを軽くしてくれた言葉です。


大学院卒業後、子育て支援の現場で、家庭や学校、病院、地域等の連携に課題を感じ、東京大学の高度医療人材プログラム(TICPOC)を受講しました。TICPOCには、当事者の価値観に沿った支援者をめざし、臨床心理士のほか、精神科医や看護師、ソーシャルワーカー、スクールカウンセラーとして働く医療人が集まっていました。東大病院の実地研修では、院内でのさまざまな心理職を経験し、精神科医の先生方と一緒に支援のあり方を考える貴重な体験となりました。


子どもを取り巻く関係者との連携においては、子ども本人の行動や状況など事実をとらえ、一緒に考えていくことが基本です。多少失敗するのが見えていても、学校の先生や保護者の方たちが子どもたちと一緒に失敗する勇気も必要だと感じています。一緒に失敗すれば次につながります。


私自身の子育てにおいても、子どもが小学1年生の頃、突然の行き渋りがありました。「今日もダメなのか…」という日々から、「期限を決めずにできるだけ付き合おう」と腹を括ったその1週間後に登校し始めた経験があります。特別なことが起こったわけではありません。不思議な体験でしたが、振り返ってみると、とことん付き合うと決めた瞬間から、子どもへかける言葉が違っていたのかもしれません。


自分のこころ持ち次第でモノコトの見え方が変わります。


人は人に言われて動くことはありません。心理士として、当事者が答えを出すように導くお手伝いをしたいと考えています。

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コミュニケーションのワンポイント

興味を持って聞く>上手に話す

相手と親しくなりたいときは、まずは相手の話に耳を傾けましょう。自分が上手に話すことよりも聞くことに集中!その話題について質問をしたり、自分の思いを伝えたりすることで、楽しい会話に発展します。

<この記事を書いた人>

Takezawa Aya
臨床心理士・公認心理師
竹澤 綾
Takezawa Aya
略 歴
埼玉県出身。大学心理学部では、家族療法の研究室に所属。卒業後、IT企業に就職し、プログラマーとして働く。結婚を機に退職し、出産・育児を経て、30歳で国際医療福祉大学大学院に入学。東京都ひきこもりサポートネットにてメール・電話・訪問相談に応じる。2019年、東京大学TICPOC受講。現在は、子ども家庭支援センターでの育児相談、保育所等の巡回相談、いのちの電話スーパーバイザーのほか、小児科クリニックにて幼児期から思春期を対象にカウンセリングや心理検査を行っている。
専門分野
幼児期・児童期・思春期
発達臨床心理学
趣 味
キャンプ/編み物

キャンプでは自然に囲まれてゆっくり過ごすと頭がスッキリします。黙々と集中できる編み物は、適度な疲れも心地よい。麻ひもで作ったかごバックは重宝しています。
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