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vol.13-2

つかず離れず

現在は、精神科単科病院や精神科クリニックの外来、認知症外来、高齢者施設の往診、産業医などの仕事を行っています。

 

長年診ている患者さんとは、毎週や毎月のようにお会いしているので、互いの“付き合いやすさ”があります。医師側からすると前後関係を知っているので話しやすく、患者さんからも相談しやすい。もちろん長い時間経過のなかで症状の浮き沈みはありますが、急に患者さんが来なくなってしまうことも少ないです。定期的にお会いして生活上の課題解決や改善について一緒に考えていきます。患者さんにとっては、かかりつけの精神科医がいることが安心材料につながっているように思います。


高齢者施設の往診では、例えば、認知症の方が施設内で夜に徘徊し、ほかの方が眠れなくなるなどの影響が周囲に及んでいる場合などに呼ばれ、症状である不眠や不穏等について施設の方へのアドバイスや薬の調整を行っています。


認知症であるご本人から情報を得ることは難しいのですが、施設や周囲の方からお話を伺って評価を行います。薬が変わったから?環境が変わったから?薬以外に何かやれることはないか?いきなり投薬ではなく、非薬物療法の選択肢を考えることが大切です。


昔から好きな言葉のひとつにお遍路さんの「同行二人」があります。もちろん、弘法大師は実際には存在しませんが、自らの力で歩く姿を見守り、共に歩む存在です。


要は、つかず離れず。


患者さんともこの関係性が大事だと思っていて、いなくなりもしないし、一定より近づくわけでもない。共に歩む存在であることを、精神科医の理想のスタンスとしています。

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好きな言葉・格言

同行二人(どうぎょうににん)

お遍路では一人で歩いていても、いつも弘法大師が一緒にいる、二人づれであるとされています。このさまを「同行二人」と呼びます。精神科医としても、そのように患者さんに寄り添った存在でありたいと思っています。

<この記事を書いた人>

Suzuki Kouta
精神科医・公認心理師
鈴木 航太
Suzuki Kouta
略 歴
東京都出身。北里大学医学部医学科卒業。初期臨床研修修了後、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室に入局。精神科単科病院にて主に救急・急性期治療に携わる。2016年より同大学大学院医学研究科博士課程(社会精神医学)に入学し、2020年9月修了。現在、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 特任助教。研究活動や研修医教育のほか、一般精神科臨床、認知症外来・往診、産業医など幅広い領域の精神科医療に従事している。
趣 味
海外旅行/ボルダリング
これまで世界一周も含め38か国ほど訪問し、各国の精神科病棟を巡ったことも。ボルダリングはまだ初心者ですが、あれこれ登り方を考えて完登できた時はとても達成感があります。
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