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vol. 10-3

受診前の一歩。窓口としての活用を

Welcome to talk「オンライン健康相談」の強みは、何といってもパソコンやスマホでつながる「手軽さ」です。こころの病は、重症化前の対応が一番の予防策となります。


地域によっては病院やクリニックが遠方だったり、初診・受診まで数か月待ちだったりと、精神科やメンタルクリニックに出向くこと自体、物理的なハードルが高いもの。また、受診に心理的なハードルを感じている方にも、医療者からみると明らかに受診が必要な方がいらっしゃいます。

 

Welcome to talk は、導入校の生徒・保護者・教職員の先生方が、医師や心理士とつながる場です。「受診」そのものがハードルになっている方には、あくまで「相談」というかたちで専門家と直接話ができるWelcome to talkを大いに活用していただきたいと考えます。


Welcome to talkはそんな方の窓口にもなり得るため、微力ながらもぜひお手伝いさせていただきたいと思い、専門家スタッフとして参画しました。


Welcome to talk「オンライン健康相談」はテレビ会議システムを用い、電話とは違って、互いの顔を見ながら話すことができるので、想像以上に対面相談と違いがないという印象です。ただ、初めてお話しする方が多いので、対面より丁寧な説明や確認をこころがけながらご相談に応じています。


最近では、勤務先のクリニックでオンライン診療が導入されました。昨年から、コロナ対策として電話診療は始まっていましたが、表情をつかめるオンライン診療のほうがより患者さんの様子がわかります。


また、いつまで続くかわからないコロナ禍に対する不安が、子どもたちの不安な気持ちをあおっている印象があります。いつもと違う環境に、大人でさえ慣れていません。新しい生活への対応にいっぱいいっぱいで、不安な大人たちが子どもたちの不安を増悪させている点もあるように思います。


大人も不安なので、子どもが不安に思うのは当たり前。オンライン健康相談を通じて、子どもたちの声をひとつでも多く拾い上げ、早期発見、早期支援につなげられればと考えます。取り越し苦労であれば単なる笑い話にできるので、周囲も、施設も病院も、受診や相談の敷居を低くすることが大切だと思います。

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オススメの1冊

『ぐるんぱのようちえん』

絵本・初版1966年12月/作:西内 ミナミ 絵:堀内 誠一/出版社:福音館書店
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=63

出産のお祝いでいただいた絵本のひとつです。最初はメソメソ泣いてばかりのゾウの「ぐるんぱ」が、ちゃんと仕事を見つけてハッピーエンドになる点がお気に入り。やる気は空回りしてばかりでしたが、ひょんなことから自分の居場所を見つけるお話です。ラストシーン「ぐるんぱは、もう、さみしくありません」にホロリとさせられました。

<この記事を書いた人>

Yamamori Sachiko
精神科医
山森 佐智子
Yamamori Sachiko
略 歴
福島県出身。東邦大学医学部卒業。初期臨床研修の後、同大学医学部精神神経医学講座に入局。東邦大学医療センター大森病院では、一般精神科臨床と並行し、同大学病院併設の思春期デイケアにて児童・思春期臨床に携わる。8年間の在職中、精神保健指定医・精神科専門医を取得、妊娠・出産を経て2児の母になる。現在は、メンタルクリニックにて主に外来診療に従事。10代から中高年まで幅広い年齢層の症例に対応している。
専門分野
精神科一般
趣 味
バレーボール/ヨガ

中学・高校・大学はバレーボール部に所属。夏の海で部活の仲間とビーチバレーをしたこともいい思い出です。社会人になってから習い始めたヨガは、呼吸やリラックスなど、日常から少し離れた感覚を味わえます。
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