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こころの専門家リレーメッセージ
コミュニケーションに悩む子どもたち
精神科医
山森 佐智子
専門は精神科一般です。
大学病院に勤務していた頃は、思春期デイケアが併設されていたこともあり、児童・思春期の入院患者さんも多く受け持っていました。現在は外来で幅広い年齢層の患者さんと接していますが、10代の通院患者さんも多くいらっしゃいます。
最近では、友だちや家族、学校の先生など、周りの人との人間関係から悩みを抱える子どもたちが多いように思います。学校で、友人だけではなく、学校の先生ともコミュニケーションをうまく取れないと悩み、その悩みを誰にも打ち明けられない。
実際にコミュニケーションが取れないことのほかに、うまくいかないと思い込んでしまっているようにも感じます。相手に確認せずに諦めてしまったり、おとなしかったり、相手の気持ちを気遣う優しい人のほうが思い悩む傾向があります。
話してもすべてが解決するとはかぎりません。でも、誰かに話したり相談したりすることで、ひとりで抱え込み続けるよりも気持ちが少しでも軽くなるチャンスがあります。子どもたちには「周りに相談することは決して迷惑ではない」と伝え続けていきたいと思っています。
児童・思春期臨床では、ともするとお子さんを連れて来院された親御さんが「本人がこう思っています!」と話し倒してしまうことも。初対面だったり、引っ込み思案だったりと、親御さんにヘルプをお願いすることもありますが、できるだけ子どもたちの生の声を聞くように努めています。
また自分自身が親になったことから、逆に親目線になりすぎないよう心がけています。「自分の学生時代はどうだったかな?」「どう感じていたかな?」と問いかけ、子どもたちと接するようにしています。
仕事のやりがいは、やはり患者さんが元の生活に戻ることができたとき。調子が良くなると「あんなこと言っていましたよね」と不調だった頃のことを自ら振り返られることもあります。外来勤務のクリニックでは、調子が良くなり、外来を卒業される方もいらっしゃいます。笑顔でお別れできたときが、一番ホッとする時間です。
ネガティブな言葉を使わない
「これをやらないと、叱られるよ」ではなく、「これをやると、楽しいことが待っているよ」と相手に伝えること。難しいと思われるかもしれませんが、意識すると意外とできるものです。ポジティブな言葉は、自分も、相手も、心地良い気持ちにさせてくれます。ただ…私自身も2人の子どもに対して“ちょっとだけ”できているので、引き続き、頑張ります(笑)。<この記事を書いた人>
中学・高校・大学はバレーボール部に所属。夏の海で部活の仲間とビーチバレーをしたこともいい思い出です。社会人になってから習い始めたヨガは、呼吸やリラックスなど、日常から少し離れた感覚を味わえます。