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こころの専門家リレーメッセージ
心理士は、一緒に歩む同伴者
臨床心理士・公認心理師
鷲塚 浩二
大学院修了後は、大学の学生相談室の相談員として、心理の専門家の立場から学生の個人面談や教職員向けのコンサルテーションを行っていました。福祉系の大学だったため、相談に対するハードルが低く、学生さんも教職員の方も気軽に相談室を利用されていました。一般教養の授業でスピーチしたり、学生相談室のイベントを行ったり、話しやすい雰囲気づくりに力を入れていました。
その後、大学病院に職場を移し、ユースデイケアと緩和ケアチームで心理臨床の経験を積みました。
こころの病は、早めに発見し、早めに対処すればするほど、社会復帰しやすいといわれています。
所属していたユースデイケアは、特に若者の早期支援に力を入れており、認知機能のリハビリテーションに強く、精神疾患の好発年齢といわれる15歳から30歳までを対象とした各種プログラムに携わっていました。
緩和ケアというと終末期のイメージが強いかもしれませんが、国の施策として早期からの緩和ケアが推奨されており、ガンと診断された時点から緩和ケアが始まります。対象は40代から60代までの入院患者さんが中心でした。思っていることを自由に話していただき、心理士として寄り添うことを大切にしていました。
現在は、精神科病院で、児童思春期から老年期まで、幅広い年齢層の患者さんとお会いしています。心理検査やカウンセリングが主な仕事。面接室でお会いすることもあれば、廊下やエレベーターでちょっとした挨拶や世間話をしたり、院内を一緒に散歩したり、庭のベンチに座ってお話しすることもあります。
児童思春期の子どもたちは、発達障害や不登校に関するご相談が増えているように感じます。
発達障害の場合は、医師と連携して対応にあたっています。どうしたら普段の生活が過ごしやすくなるかについて、心理検査の結果から支援計画を練ったり、場合によってはトレーニングを取り入れたり。学校の先生方に向けて、学校生活のなかでの対策や配慮についてご提案することもあります。
心理士は、患者さんが考えたり、悩んだりしながら歩く道程を一緒に歩く同伴者だと思っています。道を指し示す「ガイド」ではなく、患者さんの歩みについて行く「お付きの者」のイメージ。
時に立ち止まったり、来た道を戻ったり、その場をグルグル回ったりしながら、患者さんが自分で進むべき道を決めて、いずれは一人でその道を歩いていく。そのような過程を共に過ごすことができるのは心理士だけかもしれません。
それが心理士という仕事のやりがいでもあり、私が大切にしている姿勢です。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」
私のこころのバイブル、マンガ『SLAM DUNK』でバスケットボール部監督の安西先生の名ゼリフ。諦めなければ何度でもやり直せるし、いつでも挑戦できることを代弁してくれています。少し暑苦しい言葉のようにも聞こえますが、前向きな希望を優しく後押ししてくれる言葉です。<この記事を書いた人>
スポーツカウンセリング
2歳から現在まで続けている水泳をはじめ、スポーツ全般が大好きです。大学時代はコーヒーショップでアルバイト。美味しいコーヒーを求め、フラフラと散歩するのが最近のマイブーム。