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こころの専門家リレーメッセージ
アスリートの心理支援
臨床心理士・公認心理師
鷲塚 浩二
心理士を志すようになったのは大学時代。
将来、何かしらの専門職に就きたいと大学院進学を考えてはいたものの、大学入学時は、心理士はまだ視野に入っておらず、外国語系の学部で言語習得や言語発達について学んでいました。
人はどのように言語を獲得していくのか。
どのように言葉が発達していくのか。
その過程を学ぶことはとても興味深いものでした。
また、教員免許を取っておこうと教職課程も履修するなかで、心理学やカウンセリングに関する講義があり、「心理学って面白い!」「カウンセリングってすごいなぁ」と感じるように。
もともと言語習得や言語発達の学びは「発達心理学」に近い分野であり、当時から「言語学」と「心理学」が交わるようなところに興味があったのかもしれません。
そして、運動部に所属していた私は、友人が大きなケガをし、部活やスポーツそのものから離れる姿を幾度となく見てきました。友人たちは悩みや不安を抱えながらも話せる場が少なく、(あくまでも友人としてではありますが)話を聞くことが多々ありました。
スポーツの世界では、心理面のサポートはトップアスリートや一部の体育大学など、全体で見るとほんの一握り。治療やリハビリテーションといった医学的なサポートは充実している一方で、心理的なサポートは不足しているように思います。
スポーツをしている人たちの力になりたいと、大学院の専攻は心理学に決めました。大学院ではアスリートの心理支援について研究を重ねました。私はプロアマ問わず、競技としてスポーツをしている人を“アスリート”として捉えています。
大学院の研究テーマは「ケガをしたアスリートの心理支援について」。
ケガはスポーツにつきものですが、アスリートにとって、ケガによって競技から離れることの心理的な負担はとてつもなく大きい。
チームメイトにポジションが奪われるのではないか。
自分のアスリートとしてのアイデンティティが失われるのではないか。
ケガを克服し、元いた場所で活躍できるのがベストですが、実際はケガが原因となり戻れない人もいるのが現状です。しかし、スポーツの世界においてケガや引退はネガティブなこととしてタブー視されてきたように思います。
こうした背景から、ケガはアスリートの根幹に影響を及ぼすものと捉え、臨床心理学の分野から、その支援についての研究と実践を行っています。
臨床心理学だからこそ扱える分野であり、スポーツメインの価値観とは異なった視点から広くアスリートを支えていきたいと考えています。
『一瞬の風になれ』
小説・第一部2009年7月発売/著者:佐藤 多佳子/出版社:講談社https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000205117
累計100万部のヒット作となり、マンガ化・ドラマ化されたスポーツ青春小説。主人公たちと同じ高校生の頃に読んだ、温かく、まっすぐな本です。高校3年の夏のインターハイまで全3巻(イチニツイテ・ヨウイ・ドン)ありますが、一気に読めてしまいます。人の強さや弱さ、優しさ、頑張ることの大切さだけでなく、その苦しさや苦い想いまでもを爽やかに描いた作品です。
<この記事を書いた人>
スポーツカウンセリング
2歳から現在まで続けている水泳をはじめ、スポーツ全般が大好きです。大学時代はコーヒーショップでアルバイト。美味しいコーヒーを求め、フラフラと散歩するのが最近のマイブーム。