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vol. 6-1

子どもたちの「ゲーム依存」とは?

大学病院の精神科病棟で子どもから成人、高齢者までの外来対応や、病棟医長として若手医師の育成を行っています。そのほか院外活動として、大阪府や教育委員会、教職員、学校PTA、さらに中高生向けの依存症啓発セミナーのご依頼をお受けすることが多くなってきました。

 

私の専門分野は、依存症のなかでも主にネット・薬物・ギャンブル依存ですが、学校現場向け講演のご依頼で増えているのは「ゲーム依存」です。

 

今の子どもたちは生まれた時からネットが身近にあるデジタルネイティブ世代。少し前まで1家族にパソコン1台だったのが、パソコンに加えスマホやタブレットなど、持てる端末が1人1台から複数台にまで広がりました。

 

東京都教育庁データ(2014年調べ)によると、高校生のネット依存傾向は全体の6割。サービス別のネット利用時間を見ると、全体では「動画投稿サイトを見る」時間が最も長い。女子高生は「ソーシャルメディアを見る・書き込む」時間が長い一方で、男子高生は「オンラインゲームをする」時間が女子の4倍近くあり、ネット依存の傾向が顕著であることがわかりました。

 

そもそも「依存」とは、自己コントロールができずにやめられない状態、コントロール障害のことを指します。

 

しかし、思えば、ゲーム依存は今に始まったことでありません。小学生は野球カードに夢中になり、中高生や大人はドラクエに夢中になった時代がありました。当時は、お店の前に並んでゲームを買っていた人たちを“ゲーム依存”とは呼んでいなかった。超過労働をいとわない仕事人間はワークホリックと、アルコールに溺れている人は“アル中”と呼ばれていました。

 

今では「依存症」が一般用語として受け入れられ、ゲームにハマっている子どもたちを依存症として定義していることに過ぎません。「依存症」に分類することで、治療すれば治る人もいるのではないかというのが正しい認識です。

 

そもそも最近のゲームは膨大な時間と費用をかけてゲームに飽きないように巧みに開発されています。ゲーム会社の視点から見れば、1時間遊んで飽きるようなゲームの商品化は考えないでしょう。つまり、発達段階の子どもたちが自分自身でコントロールすることは簡単ではないということを認識することが大切です。

オススメの一冊

『星の王子さま』

絵本・2006年4月発売/著者:サン=テグジュペリ/出版社:新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/212204/

久しぶりにもう一度読んでみたいと思い、最近購入した絵本です。改めて読み直してみると、子どもというより大人に向けて書かれた本であることがわかりました。愛情(王子さまの世話をしていた薔薇)は見た目ではなく、世話をする、時間を一緒に過ごすことで成熟していくものと説かれています。また、蛇は死の象徴であり、死を前にすると大切なものがわかることも言ってくれているように感じます。何を感じるか気になったら、ぜひ読んでみてください。みなさまとの出会いやご縁がつながれば嬉しいです。

<この記事を書いた人>

Ikeda Shunichiro
精神科医
池田 俊一郎
Ikeda Shunichiro
略 歴
大阪府出身。自治医科大学医学部卒業後、大阪に戻り、 大阪府立急性期総合医療センターでの初期研修を経て、大阪府立精神医療センターに入局。同センターでは主に精神科救急や依存症の支援に従事。医師としてのキャリアと並行し、大阪大学大学院医学系研究科を卒業。2年間の保健所勤務時は、児童虐待の相談対応にあたる。その後、大阪府立精神医療センターの勤務を経て、2016年、関西医科大学精神神経科学教室に入局。2021年4月より病棟医長となり、現在に至る。精神科臨床のほか、大阪府や教育委員会、学生向けのゲーム依存や薬物依存など依存症啓発セミナー講演も多数行っている。
専門分野
依存症(ネット・薬物・ギャンブル)
精神科救急
統合失調症
コンサルテーション・リエゾン精神医学
定量脳波学
趣 味
ジョギング・マラソン

一人で行える趣味のため、集中かつリラックスできます。いろんな考えごとをしたりしなかったり。週1ペースで5kmを習慣にしています。
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