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vol. 6-3

共に生き、共に成長できる医師をめざして

精神科は長いスパンで患者さんに寄り添い、互いに成長できるところが一番の魅力です。精神科医は、高校生だった患者さんが今や親になるくらい、人生と関わっていく仕事。医師と患者の立場を超え、医師としても人としても成長できるのは精神科ならではだと思います。

 

それに私自身が医学生の頃から最先端医療機器がないと最良の医療を提供できないような、環境を選ぶ医療は選びたくないという思いがありました。

 

田舎であれどこであれ、身ひとつでベストな医療を提供できるのは?
年齢を重ねるごとに経験のすべてがプラスになる分野は何か?

 

行き着いた答えが精神科医でした。

 

出身校の自治医科大学は、医師不足の地域で何でもできる“総合医”を育てようと全国47都道府県の出資で設立された大学です。総合医は、地域や僻地で患者さんの状況を判断して専門医につなぐ役割を担っています。こうした「全人的医療」を掲げていた大学の医学部時代の教えが影響しているのかもしれません。

 

また専門にこだわらず、自分のスタイルで医療を提供できるという点では精神科医のほか、救命救急医も加わり、どちらも志すようになりました。

 

今は大学病院の精神科で精神科救急を行いながら救命救急センターも兼務しています。また、ちょうど3年前に、精神疾患・身体合併症センターを開設し、精神疾患を併存する身体合併症の患者さんへの診療を行っています。精神疾患や認知症の方が転んで骨を折ったり、精神的なストレスから虫垂炎を患ったり、自殺未遂から半身不随となりリハビリを受けていたり、精神疾患と身体疾患が混在しているケースを扱っています。

 

医療が必要なところに適切な医療を提供することが医師の務めと考え、日々診療にあたっています。

 

「医療の谷間に火を灯す」。今も医師として大切にしている教えです。

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好きな言葉・格言

「人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま)」

当時は悪いことだと思っていたことが、後に良いことに変わったり、たわいもないことが多かったり。この格言通り、物事の良し悪しはすべてその時に決まらないと感じており、いいことがあっても浮かれ過ぎず、悪いことがあっても落ち込み過ぎないことを心がけています。

<この記事を書いた人>

Ikeda Shunichiro
精神科医
池田 俊一郎
Ikeda Shunichiro
略 歴
大阪府出身。自治医科大学医学部卒業後、大阪に戻り、 大阪府立急性期総合医療センターでの初期研修を経て、大阪府立精神医療センターに入局。同センターでは主に精神科救急や依存症の支援に従事。医師としてのキャリアと並行し、大阪大学大学院医学系研究科を卒業。2年間の保健所勤務時は、児童虐待の相談対応にあたる。その後、大阪府立精神医療センターの勤務を経て、2016年、関西医科大学精神神経科学教室に入局。2021年4月より病棟医長となり、現在に至る。精神科臨床のほか、大阪府や教育委員会、学生向けのゲーム依存や薬物依存など依存症啓発セミナー講演も多数行っている。
専門分野
依存症(ネット・薬物・ギャンブル)
精神科救急
統合失調症
コンサルテーション・リエゾン精神医学
定量脳波学
趣 味
ジョギング・マラソン

一人で行える趣味のため、集中かつリラックスできます。いろんな考えごとをしたりしなかったり。週1ペースで5kmを習慣にしています。
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