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こころの専門家リレーメッセージ
テクノロジーでコロナ禍を乗り越える
精神科医・消化器内科医
落 裕太
緊急事態宣言を皮切りに休校が相次ぎました。そこで生活リズムが崩れてしまい休校明けに不登校になってしまった学生さんが多いようです。そして私の勤める病院にも自ら異変に気づいて受診する10代の若者が増えました。
休校明けにスタートをうまくできなかった学生さんは家で課題をこなしていても、何を目的に勉強したらいいのかわからない…、目的意識がない…、ついていけない…。こうした負のスパイラルから登校困難になってしまった学生さんや、統合失調症を発症してしまった方もいます。また周囲に対してメールで相談してもコミュニケーションがうまくいかず苦労する、質問の真意が伝わらないなど、さまざまな問題があるようです。
コロナ禍における生活の変化から体調不良を訴える子どもたちは増えているように思います。
また以前は、体調を崩したとき、保護者の方と来院されることがほとんどでしたが、コロナ禍のいま、自ら一人で来院する子どもたちが増えています。学校に知られたくない、でも自分の状態を確認して安心したいという思いが強いようです。
しかし、実際の治療開始には保護者の方の同意や家庭内での協力が必要です。子どもたちが自らの意思で勇気を振り絞って来院しても、保護者の方の理解が得られない場合があります。ここにも偏見という厚く高い壁があります。
テクノロジーを活用してコロナ禍を乗り越える。
私にとってその第一歩が、Welcome to talkの「オンライン健康相談」でした。こころの専門家スタッフとしてオンライン健康相談という枠組みから、精神科医療に対するハードルを下げ、早期支援につなげていきたいと考えています。
また長引く新型コロナによる社会全体の自殺リスクが高まっています。市の要請により、ゲートキーパー養成講座の講師を務めました。「ゲートキーパー」とは、自殺のサインに気づき、適切な声がけや支援につなぎ、見守ることを期待される人のこと。特別な資格はいりません。地域で自殺のサインに気づいていこうという取り組みですが、多くの市民の方たちに関心をお寄せいただきました。
これからも、こころの病にまつわる誤解や偏見を取り除き、悩みや不安を相談しやすい環境づくりに努めていきたいと考えています。
毎日5分程度、一人で何も考えずに過ごす。
仕事を終えたときなど、敢えて何もせず何も考えずに一人でぼーっと過ごす時間をつくっています。強制的に緊張の糸をほぐす時間です。国連の世界幸福度ランキングで常にトップクラスのオランダのニクセン(何もしない)というライフスタイルが日本でも話題になっているとか。いつからとなく自然とやり始めたことですが、効果は通ずるところがあるかもしれません。
<この記事を書いた人>
うつ病全般
中学から大学までずっとラグビーを続けていました。今はもっぱら観戦側。現在のルーティーンは週3回の7kmジョギングです。