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vol.26-4

不安と折り合う、しなやかな強さ

心理士としての仕事にやりがいを感じる瞬間のひとつは、「とりあえずもうちょっとやってみようかな(生きてみようかな)」という表情が垣間見えたときです。


「後悔のない道はない」と言われるように、選び取った道には正しい面も間違った面もあります。だからこそ、“仕方ない”というポジティブな諦めや、“見切る”という選択も必要なのかもしれません。不安は完全には消えなくても、その不安と折り合いをつけながらも前に進もうとされる姿に、私自身も勇気をもらっています。


近年はAI技術の発展により、AIによる相談サービスを利用している人も増えてきました。実際、カウンセリングで「AIに相談したらこういう答えが返ってきた」と話す学生さんもいます。この背景には、漠然としたもの、形のないものを抱える居心地の悪さがあるのかもしれません。


一方で、カウンセリングは、すぐに答えが見つかるわけでも、カウンセラーが正解を与える場でもありません。その意味ではAIとは対照的なプロセスをたどる関係ともいえるでしょう。ただ、AI相談の結果をうまく取捨選択し、自分なりに活用しようとする姿勢はとても前向きだと感じます。


「自分ひとりでどうにかしなければ」と思わなくていい。誰かとつながり、支え合い、そのつながりを感じられることで「しなやかな強さ」が生まれていくのではないでしょうか。


私自身、ひきこもり支援に携わるなかで、対面だけではない相談の必要性を感じてきました。フルオンラインでカウンセリングを展開しているWelcome to talkの健康相談に関心を持ち、こころの専門家として参画することにしました。オンラインで気軽に話せる、専門家を選べる、自室など自分の空間からアクセスできる柔軟さが、利用者にとって大きなメリットになると感じています。


また、自分のことを知らない人だからこそ話しやすいというメリットもあるでしょう。悩みを言葉にできないこともありますが、話す過程で少しずつ言葉になり、新しい気づきを得られることも多くあります。


そもそも、相談は勇気のいること。


本当に苦しいときは、その一歩を踏み出すことすら難しいものです。だからこそ、勇気をもって相談してくれた方の思いを大切にしながら、お話をうかがっていきたいと思っています。

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「後悔のない道はない」

先日最終回を迎えたドラマ、日曜劇場『19番目のカルテ』。その主人公である総合診療医の恩師のこの言葉が私の背中を押してくれたように感じました。どの道にも正しさと間違いがあるからこそ、一歩を踏み出すことに迷いが生まれるのは当然のこと。どんなに悩んで決めた道でも、進んだ先で後悔することがある。その後悔を抱えながらも歩んでいくためには、「うんと悩んで、うんと考える時間」が大切なのだと改めて感じました。進路に悩む生徒や学生さんと、少しでも自分が納得できる道を一緒に考えていけたらと思っています。

<この記事を書いた人>

Koshi Megumi
臨床心理士 公認心理師
幼稚園・小学校教員免許
古志 めぐみ
Koshi Megumi
略 歴
静岡県出身。お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 人間発達科学専攻 博士課程修了。大学心理学部卒業後、大学院修士課程を経て、総合病院の精神科やクリニック、ひきこもり相談機関の主任相談員として勤務。復職支援リワークプログラムや、青年期のひきこもり支援に携わる。博士課程で「ひきこもりの若者の生きづらさと支援」をテーマに研究を重ねる。現在は、大学保健センターにて、学生からのメンタルヘルス相談を中心にカウンセリングや検査などに応じている。
専門分野
臨床心理学
学生相談
ひきこもり支援
趣 味
ドラマ・映画・ミュージカル鑑賞/おいしいものめぐり/ひなたぼっこ

疲れを感じているときほど、太陽の光や美味しい食事、エンタメなど、身体の外からエネルギー取り込んでリフレッシュ!ミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』のサンドラを流して涙活するのも、最近のマイブームです。
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