BLOG
こころの専門家リレーメッセージ
オンラインを活用した健康相談の可能性
児童精神科医・精神科医
舩渡川 智之
テレビ会議システムを用いたWelcome to talkオンライン健康相談のメリットは、遠隔地であっても時間が取れなくても相談ができること。自宅の部屋でリラックスして相談できる気軽さが大きいと思います。パソコン以外にスマホやタブレットなどいつもの端末で相談できることも心理的なハードルを下げてくれます。
相談をお受けする側からも、オンライン上での相談は、対面相談よりも相談者からの表現の解釈や、言葉の伝わり方に配慮する必要はありますが、ネット環境も日々整備されているので、普段の対面相談の雰囲気と異なっているようには感じていません。
幼少期の頃、たまに酷いことを言ってくる“いじめっ子”がいました。家に遊びにいくと、1階の見える部屋は綺麗だけど2階はたくさんの傷がありボロボロでびっくりしたのを覚えています。今振り返ると、家庭に問題があったことがうかがえます。
いじめる側といじめられる側。両者のケアをしていかなければいけないと感じています。
子どもたちの悩みや不安を外に出せる場所、子どもたちの声を拾う機会をつくっていくことは大切でしょう。こうしたオンライン健康相談を通して、コミュニケーションの選択肢が増えることを期待しています。
そして今後は、広範囲な専門家が連携した相談機会の提供が必要となるでしょう。
相談者が低年齢になればなるほど、精神症状への環境要因の関与が強くなり、医療のみで解決できることは少なくなってきます。近隣の相談機関や医療機関の情報、学校の文化や雰囲気を理解したうえで相談に臨むことが、低年齢の児童・生徒に対し有効な相談の機会につながると思います。
場所や時間を設定すれば参加が可能というオンライン健康相談システムのメリットを活かせば、本人、家族、教育関係者(担任教師、通級指導や特別支援学級や適応指導教室の担任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、校長等責任者)、医療関係者(医師やスクールカウンセラー、訪問看護ステーション)、地域の関係機関の担当者(こども家庭支援センター、児童相談所、放課後デイサービスの職員等)が一同に会するケースカンファレンスの場を設定することも可能になるでしょう。
これは臨床場面においても、オンライン上で個人情報を扱うことの理解が多機関で得られず課題となっているのですが、今後はそのような広範囲な専門家スタッフを巻き込めると、より有効な相談の場となるのではないかと思います。
<この記事を書いた人>
学校精神医学
予防精神医学
精神科リハビリテーション
中学時代はバスケットボール部に所属。今もシューティング練習だけは続けていますが、現在は観る側でバスケを楽しんでいます。シーズン期間中は、ほぼすべてのNBAの試合をインターネット観戦。職場のある大田区のプロバスケチーム「アースフレンズ東京Z」を応援しています。